栃木県内の小学校でいじめ問題に関する不祥事が発覚しましたね。その内容はというと、6年生の男子児童がいじめによる被害を文章で訴えたのにも関わらず、担任の男性教諭は対策を取るどころか、名前入りのその文章をそのまま教室に張り出すという極めてお馬鹿らしいものです。
そもそも海外ではどのようないじめ防止への取り組みがあるのか。ノルウェー、イギリス、オーストラリア、3カ国についてまとめてみました。
ノルウェーでの取り組み
大きな特徴としては「オルヴェウス・いじめ防止プログラム」というノルウェー発のいじめ防止プログラムがあることです。
ノルウェーの心理学者で、いじめ研究の第一人者でもあるダン・オルヴェウス氏により提唱されたもので、世界で約1万校規模の導入実績があります。
プログラムの最終目標として、次の3点が挙げられます。
- 生徒間のいじめを減らす
- 新たないじめの拡大防止
- 学校でよりよい関係を築く
では具体的にはどのような取り組みなのでしょうか。
この防止プログラムは、学校・クラス・個人の大きく3つに分けた構成となっています。
学校
- 無記名で行われるアンケート調査。プログラムの起点となっている。
- 校長や教師はもちろん、嘱託の心理学者、カウンセラー、保護者、生徒代表で構成された全体会議。
- 教師の適度な見回りによる、休み時間の監督方法改善。
- 「告げ口」発覚による悪化を考慮し、匿名で相談可能ないじめホットライン。必要に応じて面談も実施。
クラス
- 人間関係について話し合い、時には議論しながら問題意識を高めるクラスでのルール作り。
- 生徒間の好ましい交流の機会を増やす共同学習。
個人
- いじめが発覚した場合即座に行う加害生徒との話し合い。
- 被害生徒との話し合い。多くの被害生徒はさらなる悪化を恐れ我慢している。
- いじめ両当事者の保護者との話し合い。
イギリスでの取り組み
イギリスはいじめ対策において先進国であるという評価もされており、早い段階から国を基準に動いていたと言われています。
イギリスで取り組まれている具体的な対策としては、次の4つが挙げられます。
- 入学する際にいじめに関する対応の書類を生徒保護者へ配布。その学校の方針や、実際にいじめが起きた際の対応手順等がまとめられた書類のようです。
- 更衣室やトイレも含む校内の監視カメラ設置。
- 保護者による校内巡回。
- 「いじめに限ることではなく、なにか問題が起きた場合は地域全体で考えよう」という内容の市民教育(シティズンシップ)。
オーストラリアでの取り組み
日本との大きな違い、一番評価すべき内容が学校がいじめの存在を認めているという点です。
いじめがあることを前提に生徒と接しており、逆に「いじめがない」と謳っている学校ほど真面目な対応をしていないという認識のようです。
また、いじめの電話相談回数がかなり多いようで、オーストラリアでは年間おおよそ10万件を超える電話相談があるようです。
オーストラリアで取り組まれている具体的な対策としては、次の2つが挙げられます。
- いじめ問題の対処に警察の介入が可能。
- 加害生徒に対する罰則。
まとめ
日本と海外(個人的には特にオーストラリア)ではいじめに対する考え方がそもそも大きく違うなという印象でした。
日本では「知られたくない」「恥ずかしい」「認めたくない」という傾向なのでしょうね。
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